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光合成細菌 −酸素を出さない光合成−
Anoxygenic Photosynthetic Bacteria
東京都立大学名誉教授 理博 嶋田敬三・
元 東京農業大学教授 理博 高市真一 編集/
執筆:浅井智広・井上和仁・大友征宇・嶋田敬三・高市真一・
塚谷祐介・永島賢治・原田二朗・平石 明
A5判/320頁/定価4950円(本体4500円+税10%)/2020年10月発行
ISBN 978-4-7853-5870-9
C3045
「光合成」というと、植物が行う“酸素を発生し、炭酸ガスから有機物を合成する働き”を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、酸素を発生しない光合成を行う生物も古くから知られており、これらは「光合成細菌」と呼ばれてきた。植物型光合成と同様の原理で光エネルギーを変換するが、そのシステムは簡素で、以前から光合成機能解明の研究材料として用いられてきた。
本書では、近年の進展を含めた光合成細菌に関する幅広い知識を紹介・解説する。光合成の機構とともに、光合成細菌が生態学的にも進化学的にも興味深い研究対象であること、取り扱いやすい将来性豊かな素材であることも認識してもらえれば幸いである。
※本書の英語版が Elsevier社から2024年3月に刊行されました。
“Anoxygenic Phototrophic Bacteria”(ISBN 978-0-443-15982-4)
サポート情報
◎ 「付録A.光合成細菌の分類名」の更新 (2024/4/1追加)
◎ 光合成細菌についての最新情報 (2024/4/1更新)
◎ 第6章 付表1 光合成細菌の脂質組成 (pdfファイル)
◎ 第6章 付表2 緑色硫黄細菌がもつガラクト脂質の脂肪酸組成 (pdfファイル)
◎ まえがき
◎ 生物名(学名)索引
◎ 事項索引 (以上 pdfファイル)
◎ 正誤表 (pdfファイル,2023/4/17更新)
◎ 書評 (弊社で把握しているもの)
1.光合成と光合成細菌
2.種類と系統分類
3.生態と培養法
4.反応中心と光合成電子伝達系
5.物質代謝
6.光合成色素および脂質、キノン
7.光捕集系
8.光合成遺伝子と発現調節
9.光合成の誕生と進化
10.光合成細菌の利用
まえがき
本書を読むにあたって
1.光合成と光合成細菌
1-1 「光合成」とは?
1-2 呼吸と光合成
1-3 酸素を使わない「呼吸」、酸素を出さない「光合成」
1-4 光合成細菌とは?
1-5 光合成反応中心と光捕集系
1-6 光合成研究の歴史と光合成細菌
1-7 生物材料としての価値・利点
第1章の参考文献
2.種類と系統分類
2-1 慣用名と系統分類の歴史
2-2 分類学的特性と同定・種提唱の基準
2-2-1 表現型
2-2-2 遺伝型およびゲノムDNA の比較
2-2-3 命名の基準と管理
2-3 紅色細菌(プロテオバクテリア)
2-3-1 紅色非硫黄細菌
2-3-2 紅色硫黄細菌
2-3-3 好気性光合成(AAnP)細菌
2-4 クロロフレクサス
2-5 緑色硫黄細菌
2-6 ヘリオバクテリア
2-7 クロラシドバクテリアとゲマティモナス
2-7-1 クロラシドバクテリア
2-7-2 ゲマティモナス
第2章の参考文献
コラム(1) 好気性光合成(AAnP)細菌の多様性
3.生態と培養法
3-1 生態序論
3-2 紅色硫黄細菌と緑色硫黄細菌
3-2-1 部分循環湖における分布と生態
3-2-2 海洋沿岸における分布と生態
3-2-3 温泉における分布と生態
3-3 紅色非硫黄細菌
3-4 クロロフレクサス
3-5 ヘリオバクテリア
3-6 好気性光合成(AAnP)細菌
3-7 クロラシドバクテリアとゲマティモナス
3-8 培養法
3-8-1 培養装置と培養の基本
3-8-2 紅色硫黄細菌と緑色硫黄細菌の培養
3-8-3 紅色非硫黄細菌の培養
3-8-4 その他の光合成細菌
3-9 分離と保存
3-9-1 紅色硫黄細菌と緑色硫黄細菌
3-9-2 紅色非硫黄細菌
3-9-3 その他の光合成細菌
3-10 群集構造解析法
第3章の参考文献
コラム(2) ヘリオバクテリアの発見
コラム(3) 光合成細菌の運動性
4.反応中心と光合成電子伝達系
4-1 光合成電子伝達系の概要
4-2 紅色細菌の電子伝達系
4-2-1 反応中心複合体の構造と電荷分離
4-2-2 キノンプール
4-2-3 シトクロム $bc_1$ 複合体
4-2-4 反応中心への電子供与体
4-2-5 逆電子流とNADH合成
4-2-6 電子伝達系の多様性
4-2-7 ミトコンドリアとの共通点および嫌気呼吸
4-3 クロロフレクサスの光合成電子伝達系
4-4 緑色硫黄細菌の電子伝達系
4-5 ヘリオバクテリアの光合成電子伝達系
4-6 その他の光合成細菌における電子伝達系
第4章の参考文献
コラム(4) プロトン濃度勾配
5.物質代謝
5-1 炭素同化(炭酸固定)系
5-1-1 カルビン回路(還元的ペントースリン酸回路)
5-1-2 還元的TCA回路
5-1-3 3-ヒドロキシプロピオン酸回路
5-1-4 エチルマロニルCoA経路
5-1-5 その他の炭素代謝系
5-2 窒素代謝系
5-2-1 窒素固定
5-2-2 脱 窒
5-3 硫黄化合物の酸化
5-3-1 硫化水素の酸化( $\rm{H}_2\rm{S} \rightarrow \rm{S}^0$ )
5-3-2 チオ硫酸の酸化( $\rm{S}_2{\rm{O}_3}^{2-} \rightarrow {\rm{SO}_4}^{2-}+\rm{S}^0$ )
5-3-3 硫黄顆粒酸化系( $\rm{S}^0 \rightarrow {\rm{SO}_3}^{2-}$ )
5-3-4 亜硫酸酸化系( ${\rm{SO}_3}^{2-} \rightarrow {\rm{SO}_4}^{2-}$ )
5-3-5 その他の無機電子供与体
5-4 ゲノム情報から探る代謝系
第5章の参考文献
コラム(5) 光合成電子伝達系の酸化還元バランス調節
6.光合成色素および脂質、キノン
6-1 バクテリオクロロフィル
6-1-1 バクテリオクロロフィルの基本構造と光吸収特性
6-1-2 バクテリオクロロフィルの分布
6-1-3 バクテリオクロロフィルの機能
6-1-4 バクテリオクロロフィルの生合成
6-2 カロテノイド
6-2-1 カロテノイドの種類と機能
6-2-2 生合成
6-3 脂質とキノン
第6章の参考文献
コラム(6) 紅色細菌におけるカロテノイドと生合成経路の多様性
コラム(7) 膜電位とカロテノイドシフト
7.光捕集系
7-1 膜構造と光捕集系
7-2 紅色細菌の光捕集系
7-2-1 コア光捕集集合体( $\rm{LH1}$ )
7-2-2 反応中心−コア光捕集複合体( $\rm{RC}$ - $\rm{LH1}$ )
7-2-3 周辺光捕集複合体( $\rm{LH2}$ )
7-3 緑色硫黄細菌、クロロフレクサスの光捕集系
7-3-1 クロロソーム
7-3-2 ベースプレート
7-3-3 FMOタンパク質
7-3-4 クロロフレクサスの光捕集タンパク質
7-4 色素間の励起エネルギー転移
7-4-1 励起エネルギー転移の理論
7-4-2 クロロフィル分子間の励起エネルギー転移
7-4-3 カロテノイド−クロロフィル間のエネルギー転移
7-4-4 過剰な励起エネルギーの散逸
7-5 構造解析
7-5-1 X線結晶構造解析
7-5-2 クライオ電子顕微鏡
第7章の参考文献
コラム(8) 光合成細菌の内膜構造と“クロマトフォア”
コラム(9) 光捕集色素複合体タンパク質とカロテノイドの結合
8.光合成遺伝子と発現調節
8-1 光合成遺伝子クラスター
8-1-1 色素合成酵素遺伝子( $bch$、 $crt$ 遺伝子)
8-1-2 反応中心および光捕集色素タンパク質の遺伝子( $puf$、$puh$、$puc$ 遺伝子)
8-1-3 光合成遺伝子の転写単位
8-1-4 さまざまな光合成細菌における光合成遺伝子の配置
8-2 光合成遺伝子の発現制御
8-2-1 2成分制御系( $\rm{RegB/RegA}$ )
8-2-2 遺伝子転写制御因子( $\rm{PpsR}$ )
8-2-3 青色光受容因子( $\rm{AppA}$ )
8-2-4 バクテリオフィトクロム
第8章の参考文献
9.光合成の誕生と進化
9-1 はじめに −光合成誕生から進化のあらすじ−
9-2 現存する光合成生物の比較整理と進化の疑問点
9-3 光合成誕生の場
9-4 色素合成能の獲得
9-5 色素の中心金属
9-6 反応中心の獲得と進化 −三つの仮説−
9-7 光合成の電子源の変遷
9-8 光合成遺伝子クラスターとその水平伝播による進化
第9章の参考文献
10.光合成細菌の利用
10-1 水素生産
10-2 生分解性プラスチック
10-3 菌体外核酸の生産
10-4 環境浄化における利用
第10章の参考文献
付録A:光合成細菌の分類名
表A-1 紅色非硫黄光合成細菌および好気性光合成(AAnP)細菌の分類群
表A-2 紅色硫黄細菌の分類群
表A-3 クロロフレクサス、緑色硫黄細菌、およびその他の光合成細菌の分類群
付録B:光合成細菌の菌株の入手と利用
付録C:参考書籍、雑誌の総説集
生物名(学名)索引
事項索引
執筆者紹介
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嶋田 敬三
しまだ けいぞう
1946年生まれ。東京大学大学院理学研究科博士課程修了。東京都立大学助教授・教授などを歴任。主な著書に『化学にとっての遺伝子操作』(共著、共立出版)、『光合成事典』(分担執筆、学会出版センター)、『光合成細菌』(分担執筆、学会出版センターなどがある。
高市 真一
たかいち しんいち
1951年 神奈川県生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本医科大学講師・准教授、東京農業大学教授などを歴任。主な著書に『光合成事典(Web 版)』(分担執筆,日本光合成学会)、『光合成研究法』(分担執筆、北海道大学低温科学研究所)、『藻類ハンドブック』(分担執筆、エヌ・ティー・エス)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しております)
→ 執筆者紹介 (2020年10月現在)
カロテノイド
クロロフィル
微生物学
菌類・細菌・ウイルス の多様性と系統
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