西はりま天文台が毎年開催している夏休みイベントで,
今年は,「スターダスト in おおなで 2000」
“ミレニアム トークショー 宇宙人を考える”ちゅうもんが,
この8月12日から13日にかけてのぺルセ流星群の夜に開催された.
西はりま天文台の黒田武彦台長の司会進行のもとで,
画家,SF作家,ピアニスト,
詩人,天文学者ら5人のパネラーが,
それぞれの宇宙人観・宇宙生命観を述べるという企画である. 内容が宇宙人ということで(?), 天文の専門家として呼ばれたが, 単純な(専門家の)講演会ではなく, 芸術家の人も交えてのトークショーということで, 何だかすごく面白そうだ. 一方,西はりま天文台には,合宿や遊びや,毎年数回は行っているけど, 今回は,結構,緊張してしまいそう(ウソ). でも,数日前に,トークショーの段取りのメールが流れてきて, さすがに,ちょっと焦ったぞ.
さて12日当日,南の方で台風がうろうろしているのを気にしつつも, 当面は, お盆がはじまったばかりで列車の込み具合を心配しながら京都駅に向かった. 案の定,智頭急行のスーパーはくと5号は満席で, あろうことか自由席にも座れず,デッキ立ち席状態.ガーン・・・ さすが全国的に盆や!! 智頭急行では,京都から(西はりま天文台のある)佐用までは, ジャスト2時間になったので,ま,何とかかんとか大丈夫だったが, デッキは暑かった.
佐用に着いたら,な,な,なんと,
西はりま天文台公園の園長の森本雅樹さん−通称森本おぢさんが,
迎えに来られていた.
おなじ列車で着いた,画家の東さんと共に,
園長自らのお迎えに恐縮してしまう. ようやく西はりまに着いたが,打ち合わせの時間まで間があるのでヒマ. やっぱりヒマだというおぢさんと, やはり手持ち無沙汰の東さんと駄弁っているうちに, イベント列車の参加者を迎えに行っていた黒田台長も戻ってきて, SF作家の野尻さんも交え,トークショーの打ち合わせになる. もっともこの時点では,車で西はりまを目指していた, ピアニストの福田さんと詩人の寮さんは, お盆の渋滞に巻き込まれヤバヤバ状態. 結局,福田さんはトークショー直前に滑り込みセーフだったが, 寮さんの到着はトークショーの終了直前になってしまった. しゃべっているうちに,あっと言う間にトークショー開始時刻の6時半になり, 会場である天文台前の広場へ. お客さんの入りは,台風の予想もあってか例年より少ないらしいが, それでも星見の人たちは1000人近いらしい. 会場もそれなりに賑やかである. パネリスト5人(最初のうちは4人)に加え, 園長の森本オヂサンもコメンテータで陣取る.
黒田さんの手馴れた司会のもとで,まずは自己紹介を兼ねて,
宇宙や宇宙生命に対する思いをパネラー各人が語ることに.
絵描きの立場やピアニストの立場それぞれに,星への想いを語られたが,
みんな自分の職業と絡めて,トークうまいなぁ,まじで.
でも,宇宙SFを書いている野尻さんも困ったと思うが,
天文で召し食っているぼくのような人間は,
自分の職業と密接につながりすぎていて,
あまり絡められないだけに,
なかなか難しいモノがあるぞ.
つぎなる質問は,ずばり,宇宙人はいるのか, いるとしたら,どんな手段で知ることができるのか,というヤツで, ふたたびパネリストが回答していくことに. 簡単な段取りのメールも流れていたので, 一応,こちらも
ここで,福田さんが数曲ほどピアノを演奏された. さすがプロである. ふたたびトークショーに戻り, パネリスト各人が想像した宇宙人の姿をOHPで紹介する場面になる. 回答の順番は,毎回,黒田さんが適当に割り振ったのだが, この回は,当然,ラストが絵描きさんだ. とはいうものの,絵心のまったくない人間としては,このネタも厳しい. まぁ,ぼくの場合,宇宙人と訊かれて頭に浮かぶのはラムちゃんだし, しゃーないから,うる星のOHPを5枚ほど用意していったら, ごく一部にバカ受けしていた.
ここらへんで,黒田さんが会場の質問も受け付けて回り, “宇宙人は何人いますか?”なんていう質問も出てきたりした. 必ず出るよな. 最後に,まとめとして, 宇宙人としての地球人は,21世紀に, 何を求めどこへ行くのか,という質問に, パネラーがそれぞれの気持ちを語って, トークショーは終わった. ぼくたちパネラーも楽しみながら,いつの間にか9時過ぎになっていた. こっちの期待にたがわず,専門家のたんなる講演会と異なって, 芸術肌の人たちからは意外な意見やイメージがつぎつぎと出て,ホント面白かった. トークショーの後は, お客さんたちはペルセウス流星群の観望会がはじまり, トークショーのゲストは慰労会(飲み会)へと. というか,一仕事終わって, これからが西はりまの本番である. 夜の9時過ぎから,延々と明け方まで, 間に福田さんのミッドナイト星空コンサートがあったり, 望遠鏡で土星や木星を眺めたりもしながら, 12時過ぎにはイベントスタッフも加わって, ほんとに延々と飲み会が続くのだ. ぼくは明け方の5時にダウンしたが, まだ黒田さんをはじめ何人か飲んでいた. 天文台を出ると空は白み始めていたが, あちこちで寝転がっている人たちがたくさん居た. こちらは宿舎の方に降りて, 家族用ロッジの一室(5人部屋)に 一人で泊まるという贅沢をさせてもらった, が,これはこれで少し寂しいもんだ. 翌朝は10時にやっと起きて食堂に向かったら, 黒田さんは,もうバリバリ動いている. ほとんど寝てへんよなぁ,いつもだけど. 西はりま明けの,結構フラフラ状態で, またまた森本おぢさんに佐用駅へ送ってもらって帰京する. しかしまぁ,合宿で来ても用事で来ても遊びで来ても講師で来ても,結局一緒で, いつもどおり,密度が高くハードな西はりま天文台だった. |
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